自動車向けバッテリ監視ICの新シリーズを販売開始

カーボンニュートラルに向けた自動車の電動化を加速する 自動車向けバッテリ監視ICの新シリーズを販売開始

【要 旨】   ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(以下、NTCJ)は、当社第3世代となる機能安全を強化した自動車向けバッテリ監視ICの新シリーズの販売を開始します。 

【本製品による効果】

  1. 冗長測定システムと通信機能を強化し、車載機能安全規格(ISO26262)のASIL-Dに準拠したバッテリマネジメントシステム(以下、BMS)の開発・設計を容易化
  2. 電圧測定誤差1.5mV(当社従来品2.5mV)の高精度測定を達成し、様々な種類の電池セルとアプリケーションに対応するBMSを実現
  3. 業界最高水準となる最大20個の直列接続された電池セルを一つのICで測定する事で、100から200個の電池セルを直列接続するBMSを簡易化

・商品の詳細はこちら:

https://www.nuvoton.com/products/battery-management/battery-monitoring-ics/automotive-qualified

世界的なカーボンニュートラル実現に向け、電気自動車やハイブリッド車などの電動車の普及が進んでいます。自動車メーカーは、リチウムイオン電池の発煙や発火といった危険な事象に対して安全性を確保し、さらに1回の充電で走行できる距離を、内燃機関の自動車が1回の給油で走行できる距離と同等まで延ばす必要があります。また、リチウムイオン電池には、正極、負極などに使用される材料に応じて、三元系[1]、リン酸鉄[2]、LTO[3]などの様々なバッテリケミストリが存在し、エネルギー効率、安全性、コストなどを考慮し、アプリケーションや用途に応じて最適な電池が選択されるため、より広い電圧範囲や温度範囲に対応できるバッテリ監視ICが求められています。加えて、電動車に搭載される大容量で高出力なリチウムイオン電池を省スペースに搭載できる事も重要です。

当社の新バッテリ監視ICは、電池セル入力端子・マルチプレクサ・ADコンバータを二重化した冗長測定システムにより電池セルの異常や電池測定システムの故障を幅広く検出できることに加え、従来品と比較して、ロバスト性(堅牢性)の高いデイジー通信機能を搭載しました。これにより、ISO26262 ASIL-Dに準拠した車載バッテリシステムを、自動車メーカーやバッテリモジュールメーカーが、より容易に開発、設計できるようになります。さらに、電圧測定誤差1.5mVの実現により電動車の航続距離を延ばす事ができるだけでなく、精度保証範囲が広いため、リチウムイオン電池の性能を最大限に引き出し、様々な車種やアプリケーションに対して共通プラットフォームの展開を可能にします。また、当社の新ICは、前世代から定評のある最大20個の直列接続された電池セルを測定するバッテリ監視ICであるため、より電池セルの直列接続数が多く高出力なバッテリシステムに対し、少ない数の部品でBMSを構成でき、バッテリモジュールの小型化に貢献します。

【技術的特長】 新バッテリ監視ICは、以下の特長を有しています。

  • 定評ある独自開発のSOIプロセス[4]の特徴を生かし、素子や機能ブロックを電気的に分離し、電池セルの測定端子を2系統に分離することで、冗長性を高めた測定システムを採用し、外付け部品で構成される入力フィルタの故障検知が可能。さらに、双方向デイジー通信を実現し、より冗長性の高い通信トポロジーを構成することで、ロバスト性(堅牢性)の高い通信を実現。
  • 高精度なリファレンス回路を実装し、温度変動特性を出荷検査時に調整する事で業界最高水準の絶対電圧測定を実現。また、微小な電圧精度のズレを補正する回路技術を適用することで、広い電圧範囲と温度範囲で高い測定精度を実現。
  • SOIプロセス技術の利点を活かし、最大定格電圧130Vの高耐圧化と微細プロセスによる機能集積化および安全性の高い冗長設計を実施。

【用 途】電気自動車(BEV)、ハイブリッド車(HEV)、大容量蓄電システム(ESS)など 

【対象品番】当社第3世代 自動車向けバッテリ監視IC(KA84933UAシリーズ)

                   KA84933UA/KA84923UA/KA84939UA 

【仕 様】

品 番

KA84933UA

KA84923UA

KA84939UA

最大接続セル数

20セル

定格電圧

130V

電圧測定精度

1.5mV

通信I/F

SPI/デイジー

最大デバイス接続数

63個

パッケージ

QFP-80pin(14mm x 14mm)

【量産開始】     2021年12月

【お問い合せ先】      ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社

(報道内容) 経営管理部 経営推進課

松本            (NTCJ_PR@nuvoton.com

      (技術内容)      バッテリ・アナログソリューションビジネスグループ マーケティング部

ディレクター 金久保(NTCJ_mkt_Battery_Analog@nuvoton.com

【用語説明】

[1] 三元系:

NMC(ニッケル、マンガン、コバルトの頭文字を取った化合物)を正極に使用している電池。発熱量が少なく低温時の放電特性に優れ、エネルギー密度が高い。医療機器や電動車などで使用されている。 

[2] リン酸鉄:

リン酸を正極に使用している電池。熱暴走が起こりにいため安全性が高く、原材料費も比較的安価。電動工具や電動車などで使用されている。 

[3] LTO:

負極材に黒鉛ではなくチタン酸リチウム(LTO)を使用している電池。電圧が低く容量も小さいが、熱安定性が高くサイクル特性が良い。 

[4] SOI(Silicon on Insulator)プロセス:

素子間の電気的分離をPN接合で分離させる従来プロセスに対し、SOIプロセスは素子間を絶縁体(SiO2層等)で分離したプロセス。

 

【ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社 について】

ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(Nuvoton Technology Corporation Japan、以下: NTCJ)は、2020年にNuvoton Groupに加わりました。NTCJは、世界的な半導体専門メーカーとして、設立以来60年超にわたって培われてきた技術とさまざまな製品、およびそれらを最適に組み合わせた空間センシングソリューションと電池応用ソリューションを提供しています。 お客様やパートナーとの関係を大切にし、期待以上の付加価値を提供することで、社会、産業、人々の生活のさまざまな問題を解決するグローバルソリューション企業として活動しています。 詳細については、https://www.nuvoton.co.jp/ をご参照ください。

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